「現代アートとは何か?」読書会アーカイブ

5/17日、東京芸大美術部企画の読書会で林が登壇して話をしました。

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【企画名】読書会 

【内容】「現代アートとは何か」小崎哲哉

第1〜3章 担当:林

【日時】5月17日(金)18:00〜


【当日参加人数】23名

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下にスライドを添付しておきますが、簡潔に概要をまとめます。


▼概要

・現代アートは、モダン以降の前衛と批評、それに対する反応、さらなる前衛、というように、歴史の連続的なコンテクストを意識しながら発展していった。それは次第に思想と深く結びつくようになり、80年代をピークに人類の新たな「知」の形にまでなった。そして「現代アート」「Contemporary Art」という言葉が生まれた。


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・しかしそれ以降批評や理論というものが効力を失っていく。日本においては95年以降、奈良美智が「僕は好きな絵しか描かないからね」みたいな態度が受け入れられていくようになって多様性の時代が訪れると、それまで現代アートが基盤にしていた一本筋の歴史の連続性が失われてしまった。(ポストモダン)


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・批評や理論によるアート作品評価の規範が失われると、①作品の「価値」と「価格」が混同されるようになる、②美術館の権威の失墜とポピュリズムへの迎合、という問題がみられるようになり、現代アートに対する正当な評価と鑑賞が脅かされている。


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・そんな中で、ボリスグロイスが「今日においてはアーティスト自身のために理論が非常に重要である」ということを語る。熱い。

ここまでが本書からの内容

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・そこでの問題は、そういった理論がしかしオーディエンスに届かなくなっていることである。そういった状況に対する現在のアーティストたちの反応として、コレクティヴという活動形態が以前よりも生存戦略的に見られるようになっていること、人との関係性を意識した作品(オーディエンスに当事者性を想起させるような。リレーショナルアートに限らず、もっとスタティックな作品においても。)がみられるように思う。


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最後に、そんな時代において林はどんなことを自らの活動として考え、制作しているか。

新時代を切り開いていくために、バーチャルに対する希望と理想についての話をしました。






こういった流れで本の内容(1〜3章)をまとめつつ、話の中で反応があった点について2時間ほどのディスカッションをしました。

特に重要だった論点についてまとめておきます。


▼ディスカッションにおける重要な論点

・現代アートの歴史の成果が、その知の形であるということはわかるが、ポピュリズム的な作品というのが必ずしも現代アートの没落であるのか


・バーチャルの美しいところばかりを林は語るが、それは結局デバイスをつけている間だけの虚構との戯れ、現実逃避であって、それを外した時に厳然として広がる現実に対して何も状況を好転させる力を持ち得ないのではないか。ー>これは考えてみれば当然の指摘であるが、その時の林にはとても新鮮なレスポンスだった。





▼まとめ

現代のアートに、もっといえば現代のそれぞれの人生に、とても真摯に、エネルギッシュに、向き合っている学生が集まり、非常に熱い会でした!



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